第8章 裏の理事官
黒田「だが、無理は決してするな。
重ねるが、もしも何かあったら自分の身を一番に守る事を考えてくれ。
君はあくまで『一般人』だ。」
椛「分かりました。胸に留めておきます。」
黒田「あと、この依頼に関しては絶対に他言無用だ。
君の立場を決して誰にも漏らすな。
降谷本人にはいつか気付かれるだろうが…
より多く情報を得るために、可能な限りで良いから、引き延ばして欲しい。」
椛「はい。」
黒田は先程受け取っていた茶封筒から紙を数枚取り出す。
黒田「これは注意事項と、契約書だ。
全て一読し、チェックを入れていってくれ。
分からない部分は聞いてくれ。」
椛「はい。」
彼女は全ての項目を確認し、チェックを入れていく。
最後に今日の日付とサインを入れる。
サインを入れる時は何だか、背筋が伸びる様な感覚がした。
これから新しい人生と挑戦が始まる。
そんな感覚に軽く武者震いを感じた。
サインした契約書を黒田の方に向けて差し出す。
黒田は漏れがないかどうか確認して
黒田「これで君は『私直属』の、
今日から『公安の協力者』だ。
これからよろしく頼む。」
そう言って立ち上がり大きな手を差し出した。
その様子を確認した彼女も立ち上がり
椛「こちらこそ。
これからよろしくお願い致します。」
差し出された大きな手をしっかり握り、目を合わせた。
目が合うと、穏やかな表情をしている黒田が目に映る。
彼女も微笑み、お互い力強く頷いた。