第44章 G線上のアリア
テーブルの下で、膝に置いている椛の手の上に、安室の手がそっと重なる。
指を絡めとる様に繋がると、伝わる手の温もりが心地よい。
そして、椛の耳元に顔を近づけると…
安室「それに…
椛と一緒に居る時間も、思い出も増える…」コソっ
不意打ちで、お店でこんな事を言ってくるなんて、ちょっと狡いと思う。
カウンター席に座った事を、少し後悔したいような…
けど嬉しいような…
椛「…安室さんの、そういう思ってる事を素直に伝えてくれる所はとっても嬉しいし、とても好きだけど…
…たまに心臓に悪い…」
安室「ふふっ…
本当はこれでも、外では大分我慢してるつもりなんだけどな…」
その一言に、普段家で2人きりで過ごしている時の彼の様子が椛の脳裏に浮かぶ…
椛(そう言われてみると確かに…
大分…
そうかも…)
変に納得してしまい、それ以上その件について深く追求する事はしなかった。
安室「初へしこ、美味しかったなぁ〜♪」
食事が終わり、お店を出ると、地下駐車場にむかうエレベーターへ続く道のりを、相変わらず彼女の腰を抱きながら2人並んで歩く。
いつも外を二人で歩く時は手を繋ぐ事が多いが、まだ昨日のことを引きずっているのだろう。
今日の安室は、手を繋ぐ気は無いように見える。