第44章 G線上のアリア
椛「だって…
安室さんが綺麗な瞳で見つめてくるから…」
安室「それは貴方の方でしょう?」
ゆっくりと安室の頭が下がり、整った顔が椛の元に降りてくる。
唇が触れる直前…
その瞬間、外から別の車が駐車場に入ってくると、エンジン音がよく響く地下駐車場にこだました。
その音で、二人の世界に完全に入り込もうとしてた所を、ハッと一瞬で現実に戻される。
意識が引き戻されると、お互い小さく苦笑し、安室はチュッっと触れるだけのキスを彼女の唇に落とす。
安室「危うく、優先順位が逆になって…
今日も夕飯を飛ばしてしまいそうになる所だった…」
椛「うふふっ、それは困っちゃうね…」
完全に現実世界に戻ってきた二人は、額を合わせて一度微笑み合う。
安室「じゃあ、行きましょうかね。
お店に。食欲を満たしに。
あと市場調査も…」
椛「ふふっ…そうね♪」
そのまま二人並んで歩きながら、レストラン階へ続くエレベーターに向かって行った。
今日やってきたのは、最近新しくオープンした『へしこ』の専門店だ。
店員「いらっしゃいませ!
ご予約はされてますか?」
椛「今日の昼間、人数の変更をお願いしました結城です。」
店員「結城様ですね、お待ちしておりました。
テーブルでもカウンターでもどちらかお選び頂けますが、ご希望ございますか?」