第8章 裏の理事官
キャリーケースを閉めると持ち手を奪われる。
そのまま運んでくれるようだ。
「悪いから」と言っても受け入れてもらえなそうなので、そのままお言葉に甘えて運んでもらうことにした。
エレベーターを降り、そのまま地下駐車場へ向かう。
止めてあった黒田の車のトランクに荷物は入れてもらい、2人も車に乗り込む。
黒田「これから警察庁に向かう。」
椛「そうですか、分かりました。」
まさかこんな形で、警察庁に行くことになるとは思っても見なかった。
人生とは本当に何が起こるか分からない。
椛「講座を受講していたのは、候補者を探すことが目的だったのですが?」
黒田「もちろんそれもあるが、個人的に講座自体にも興味はあったさ。
だから通い続けていた。」
椛「そうでしたか。それは良かったです。
いつもありがとうございます。」
黒田「椛さんは医学の教養もあるのだろう?
講義の内容を聞いてそう思っていた。」
椛「ありますけど、多少ですよ。
それに専門は消化器系内科、呼吸器科なので。
先ほどの話伺って『整形外傷』学びなおそうと思いました。
教本は家にあるのでとりあえず近いうちに読み直します。」
黒田「そうか。
その知識が活躍しない事の方が良いが、、、
頼もしい限りだな。」
椛「確かに、、、
遭遇しないことに越したことはないですね。」