第8章 裏の理事官
暫し見つめあうが、先に言葉を発したのは彼女の方。
椛「、、、本当に私の可能な限りでかまわないのですか?」
黒田「あぁ、もちろん。」
椛「今の仕事はこのまま、何事もなく続けた方か良いのですよね?」
黒田「あぁ、逆に辞められると不自然だ。」
椛「特別な能力とかは無いですよ。」
黒田「それは君が感じている話だろう?
こちらが求める条件は十分備えている。」
椛「??」
黒田「君なら、必ず『アイツ』の日常に馴染むことが出来るだろう。
力になって欲しい。」
そう言う黒田はどこからどう見ても部下を思いやる、優れた優しい上司そのものだ。
少なくとも彼女の目にはそう映った。
椛(ダメだ…
こんな人にこれ以上言われてしまっては…
もう断れる気がしないな…。)
黒田のその姿に、彼女も腹を据える覚悟を決めた。
椛「、、、分かりました。
この件お引き受けいたします。」
そう言って黒田に微笑んだ。
黒田「そうか、、、。心から感謝する。」
そう言うと黒田も柔らかく微笑んだ。
黒田の笑みを見て、彼女も再度微笑み返す。
椛「更に細かい詳細とか、今後との事とか話伺った方が良いですよね?
このまま続けますか?」
黒田「椛さんはこの後、時間は大丈夫なのか?」
椛「えぇ、今日はもう片付けて帰るだけです。」
黒田「では急で申し訳ないが、このまま話を続けよう。
場所を変えたいんだが、いいかな?」
椛「えぇ、もちろんです。
では荷物まとめるのでちょっと待ってて頂けませんか?」
黒田「あぁ、もちろんだ。」
そう言って結局片付けを手伝ってもらいつつ、荷物をまとめる。