第42章 ポアロのギタリスト
椛「そう言ってくれるなら…
私も零の家、行ってみたい…」
降谷「あぁ、もちろん良いよ。
家に物が必要最低限しかないし、する事がない分…
俺が椛を抱きしめる時間が増えると思うけど…
それでも良ければ…」
そう言って抱きしめる腕に力を込める。
その言葉の意味と、その先を想像してしまって…
胸の奥が一瞬熱を帯びる。
降谷「椛…」
名前をそっと呼ばれた瞬間、背後から抱きしめている彼の手が前に周り、彼女のフェイスラインをなぞる。
ドキリと高鳴る胸の内を悟られたくなくて、わざと軽い声で切り返す。
椛「……する事がないって…
ギター弾いてる姿、見せてくれるんじゃないの?」
降谷「椛が望むならもちろん弾くさ…」
椛「一瞬だけ?」
降谷「一晩中弾いて欲しいと言われたら、一晩中でも弾くよ…」
甘すぎるその言葉に、心の中心が疼き始める。
静かな声。
耳元で落とされるそのトーンに、
背中がふるえるような心地よさが走る。
降谷の腕がさらに強く椛を抱き寄せ、
肩から背中にかけて密着する体温が伝わってくる。
彼の胸の鼓動が、しっかりと背中に伝わる距離。
椛は思わず顔を上げ、わずかに後ろに傾きながらも、その距離感の心地よさに甘く揺れる自分を感じる。
降谷の息が頬にかかり、
落ち着いた呼吸のリズムが胸に響く。