第42章 ポアロのギタリスト
人に教える事はあまり興味がないのか、
完全にその気がない彼女の返答に、
降谷は言った側から笑いがこぼれる。
まぁ、本当に園子に頼まれたら、椛も断る事はしないだろうが。
降谷「…また話は別だが…
今日皆といた世良真純。
彼女は、赤井秀一の妹だったな。」
降谷の声のトーンが半音低くなる。
『やはり彼も気付いていたのか』
と心中で静かに思う。
椛「私には、兄の名前が『しゅういち』としか、言ってなかったけど?」
降谷「あのあと、皆に自ら打ち明けてたよ。
『兄の名前は赤井秀一』だと。
坊やも側で聞いてたからね。
静かに険しい表情を浮かべていたよ。」
椛「そうだったんだね…」
降谷「実は彼女は以前、会ったことがある…
まだ今より、子供だったが…」
椛「えっ?
そうなの?」
降谷「昔、組織の任務中にな。
赤井秀一と、ヒロと、オレと…
3人で電車に乗って次の任務先に向かってる所だった。」
椛「3人で…」
降谷「あぁ、駅のホームでバッタリ鉢合わせたんだ。
短い時間だったが…
ヒロはその時、1人で悲しそうに兄を待つ彼女を宥めようと、背負ってたベースを取り出して、弾き始めたんだ。」
椛「そう…
きっと、放っておけなかったんだね…
なんだか…
優しいヒロ君らしいね。」
降谷「そうだな…」