第7章 緋色の友情
なんとなく雑談には戻る事はその後無く、そのまま彼女の自宅前に到着した。
椛「送って頂きありがとうございました。
今日のお食事も楽しかったです。
帰り道気を付けて下さい。」
そう言ってドアノブに手をかける彼女を呼び止める。
沖矢「椛さん。」
その声に振り向き、彼女はドアを開けようとする手を止める。
沖矢「何か困った事があったら、僕を頼って下さい。
『必ず』力になりますよ。」
そう言った表情はいつもの沖矢だが、沖矢の細い目から本来の、彼の深く鋭いグリーンアイが垣間見える。
その言葉に一瞬面を食らうが、直ぐに微笑み
椛「ありがとうございます。
分かりました。
困ったときは『必ず』頼ります。」
そう言って右手で拳を作り、彼の前に差し出す。
真意を理解した沖矢も拳を出し、彼女の拳に優しく衝き合わせる。
すると彼女は朗らかに頷き、見送りの手を振りながら自宅の建屋に入って行った。
そんな彼女を見届けると、沖矢も帰路に着く為アクセルを踏み込む。
久しぶりの外食を楽しんだ。
本来の自分で出歩けないにしろ、ここ数ヶ月は比較的穏やかな時間を過ごしてはいたが、今後何か動き出しそうな、、、
そんな予感を感じつつ、自身も帰路につくのであった。