第40章 立夏の約束事
バーボン「なぜそのように思ったのか伺っても?」
ベルモット「微かに女の匂いがするような…
…気がする…
あとは女の勘よ。」
バーボン「…その女性の勘というものは、我々男性側からしてみたら時に厄介で…
時に末恐ろしいものがありますね。」
ベルモット「それで?
貴方、彼女でも出来たの?」
バーボン「探偵の方の仕事で、女性を送っていただけですよ。」
ベルモット「へぇ~、果たしてそれは真実かしら?
それにしても…
ちょっと妬けるわね。」
バーボン「また、心にも無いことを。」
ベルモット「まあいいわ…
そういう事にしといてあげる。」
会話を続けながら、まだ明るい街中を白のRX7は颯爽と走る。
隣に乗せ居ている人物が違うだけで、外の景色が違う色に見えるのだから、『誰とどう関わるか』はやはり大事だなと、会話を続けながら頭の片隅で安室は思う。
ベルモット「アハハハハハ!!
だから言ったじゃない!
あの赤井が生きてるわけないって…」
バーボン「えぇ…
僕の取り越し苦労でした…」
ベルモット「もうこういうのは無しにしてよね?」
バーボン「はい…
でも、また何かあったら力を貸して下さいよ…
何しろ僕はあなたの秘密を握っている、数少ない人物の1人…
組織のメンバーが知ったら驚くでしょうね…
まさかあなたがボスの…」
そこまで言って一旦口を紡ぐ。
助手席から伸びるベルモットの手には拳銃。
そしてその銃口は、バーボンのこめかみに当てられた。
薄いサングラスから透けて見えるベルモットの瞳は、鋭く、冷ややかにバーボンを睨みつける。