第40章 立夏の約束事
安室「それにしても石垣さんも言ってましたが…
流石に椛さん…
きっぷが良すぎますよw」
椛「いやいや、結局最終的にはお支払い、安室さんに任せてしまいましたし…
いつも安室さんから貰ってばかりだから。
私も、お礼のプレゼントを何かしたいと思っていたの。
先程、よい機会だと思ったのだけど…」
安室(そんなふうに思ったいたのか…)
安室はあまり、人からそんな事を言われた経験がなかったため、嬉しくもむず痒いような感情が胸の中に広がった。
安室「そんな…
椛さんからはもう十分すぎる程、色々貰ってますよ。
むしろ…こちらからのお礼が、足りないぐらいだと思っているのに…」
椛(色々貰っている?)
彼の言葉を聞いて、出会ってからの記憶を辿るが…
食事をご馳走になっているのも、服をもらっているのも彼女側の方で、特に何かこちらから彼にプレゼントした記憶はない。
不思議そうな表情で彼を見上げるが、駐車場に着いたため、ひとまず車に乗り込む。
安室は運転席に乗り込むと、既に助手席に座っている彼女と目が合った。
まだ先ほどの事を考えているのか、引き続き、不思議そうな表情を向けていた。
そんな彼女に向けて手を伸ばすと、彼女の小さく白い手に自身の手を重ねる。
指をからめとるように繋ぐと、手から伝わる彼女のぬくもりと体温が、安室の心を落ち着かせた。