第40章 立夏の約束事

　
お茶を頂き、ひとしきり挨拶が終わると、座敷に通され、早速本題に入る。

石垣「こちらが今回、結城様に合わせてご用意させていただきました反物です。」

そこには10本程積まれた絞りの反物が並べられていた。


椛「こんなに見繕ってくださったんですか…
どれも素晴らしい事はよく分かりますが…
そんなに何本も買えませんよw」

石垣「もちろん存じてますよ。
ただ、『これも見ていただきたい、あれも見ていただきたい。』
となったら中々本数を絞れず…
これでも数は絞ったんですよw」

鈴木「結城様、これはどうでしょうか？
私のおすすめなんです！
けどまぁ、とりあえず全部当ててみましょう♪」

試着用の衿芯を付けられ鏡の前に立たされる。

反物を当てて、楽しそうに鈴木と会話をしている彼女を見守る安室。

安室「なるほど…
こうやって和服は選んでいくんですね。」

少し下がった所で、静かに様子を見守っていた男性陣の会話が始まる。

石垣「安室様はお着物は着られたりするのですか？」

安室「お恥ずかしながら、持っていないし、着たことも無いんですよ。
けど、彼女に出会ってから、やっぱり和服って良いなって痛感させられています。」

石垣「それはそれは。
着たら良く似合いそうですし…
結城様は和服の事、よく分かってらっしゃる方ですからね。
お二人で着て並んだらそれはもう、とても素敵だと思いますよ。」