第40章 立夏の約束事
椛「…癖って…
それはそれで聞く人によっては、危ない発言に聞こえる…」
降谷「ふふっ、確かにな…」
彼の乾笑いに、張り詰めていた部屋の空気が緩む。
どうやら会話の終わりが見えてきたようだ。
降谷「さっきはを試すような、嫌な言い方をした。
すまない。」
椛「私も、キツイ嫌な事を言ったわ…
ごめん。」
お互いそれぞれ詫びの言葉を入れると、降谷が腕を彼女の背中にまわして抱き寄せる。
今しがたまで、気を張っていたからだろうか。
布越しに彼の鼓動が伝わると、体の力がフッと抜けて、気が完全に緩んだ。
降谷「椛を傷つけたいわけじゃないんだ。
大切すぎて…
失いたくない…」
椛「うん…
私も零を失いたくないよ…」
椛も腕を彼の背中に回して抱きしめ返す。
それぞれの決意を胸に、暫くお互いの鼓動を確かめ合うように、強く抱きしめ合っていた。
椛「まさか今日、一緒に行けると思ってなかったから…びっくりだよw」
安室「それを言うなら、僕も同じ気持ちさ♪」
白く輝くいつもの彼の愛車に2人で乗り込むと、シートベルトを締め、車は発進する。