第7章 緋色の友情
椛「あなたが素で、『昴さん』が変装だったんですか?」
確信をついた言葉に彼女の目を向けると、思いのほか穏やかな表情をしていた。
そのまま彼女はそっと俺の右手を取る。
そして目の高さまで上げると…
椛「先ほどまで私は『昴さん』と一緒にキッチンに立って、ずっと作業する『彼の手元』を見ていました。
この手は『昴さん』の手です。
見間違えたりしません。」
赤井「、、、」
椛「それに、あなたから『昴さん』と同じ匂いがします。
吸っているタバコの匂いと、あなた本来の体臭、、、
喫煙者は非喫煙者に比べて体臭自体がきつくなりやすいんですよ。
幾ら首から上の外見と、声を変えても、敏感な女性には見抜かれちゃいますよ。『沖矢昴』さん??」
そう言って首を軽く傾げる彼女。
なんとなく、と言うか直感的に、彼女にはこれ以上ごまかしが効かない気がした。
赤井(俺としたことが…
みくびる相手を見誤ったな、、、)
赤井「まさか…ここまでとはな…」ボソッ
椛「??」
小声で呟いた為、その言葉を彼女は聞き取れなかった。
赤井「、、、正直、
匂いまでは流石に気を使って無かったな。
これからはその助言を胸に刻むよう『沖矢昴』に忠告しておこう。」
まるで降参とでも言う様に肩をすくめ彼女の言葉を受け入れる。