第39章 嘘つきと正義
安室「あと…
今日は出来れば、椛を抱きしめながら眠りにつきたい。
俺の願いを、叶えてはくれないか?」
疲れを隠しきれない顔をキラキラさせて、まるで縋る様に優しい声で囁かれ…
椛は脳が溶ける心地がした。
椛(この人ホント、急に王子様が過ぎるのよ…
しかも、隠しきれない疲れた表情で言われるとまた何というか…
いつもより破壊力が凄いな…)
愛しい恋人に、この状況下でこんな事を言われて…
断れる女性が、世の中にいるのだろうか…
椛「あぁ、もう…
だから、そんな言い方とか、その表情とか、本当にズルい…」
安室「……それはYESと取っても?」
椛「…良いに決まってる…
なんかちょっと悔しいけど…」
安室「ははっ♪」
彼女の返事を聞くと幸せそうに微笑み、一度チュッっと唇を落とす。
安室「じゃあ最速で椛の家に向かおう!」
身体を離すと直ぐにでも発進しようと、運転モードに切り替わる。
そんな安室を横目で見つつ、先程留め損ねたシートベルトに手をかけると…
椛「ドラテク無しで、安全運転でお願いします…」
安室「ははっ!もちろん♪」
アクセルを踏み、独特のエンジン音を鳴らすと、法定速度ギリギリのスピードで、彼女の家に向かっていった。