第39章 嘘つきと正義
仕事柄もあるし、何があっても、どんな事も、力を緩めない真髄な姿は尊敬するが…
一個人としてはやはり…
彼の体調を心配せずにはいられない。
椛「…今日はこの後、また仕事に戻るの?」
安室「いや、今日はポアロで最後だよ。」
椛「じゃあ今日はもうすぐ帰って、沢山寝た方がいいね…」
安室「?」
椛「目の下…クマ酷いよ?
あと肌も…」
安室「…」
椛「昨晩一睡もしてないんでしょ?
そんな疲れてる時、送らせちゃってごめんね。
本当は顔が見れたら、すぐ帰ろうかなとも思ってだんだけど…」
少し申し訳なさそうに言うその彼女の様子に…
安室が思っている以上に、
『普段、彼女に気を使わせてしまっているんだな。』
と、罪悪感を覚える。
安室(徹夜なんて、別に珍しいことでも何でも無いが…
それよりも…)
安室「…今日、ポアロが終わったら椛に連絡して、椛が大丈夫そうだったら、会いに行こうと思っていたんだ。
…だから…
椛がポアロに現れた時、
『会いたい気持ちが届いたんだ』
と思って、凄く嬉しかった。」
椛「零…」
頬に添えていた彼女の小さな手の上に、安室は自身の手を重ねて包み込む様に握りしめる。
2人の視線が再び重なると、安室は続けて言葉を紡いだ。