第39章 嘘つきと正義
安室「何か考え事ですか?」
椛「あぁ〜
…そうですね。」
安室「僕でよければ相談に乗りますよ?」
再び視線が重なると、彼の瞳をジッと見つめる。
パッと見、『いつものポアロの店員安室さん』に見えるが、彼女からしてみたらやはり幾分、疲れが隠しくれていない様に見えた。
そんな姿に、胸がギュッと締め付けられる。
過酷な任務をなんて事も無いように普段からこなしている、彼を心から尊敬しているが…
同時に切ない気持ちもどうしても、溢れ出てしまう。
そんな感情を隠すように、彼に向かって柔らかく微笑み返した。
椛「安室さんってやっぱり凄い人だと思うし、とても尊敬してます。
そんな人に出会えて、そして好きになれて、私、恵まれてるなと思って。」
安室「えっ?」
梓「まぁっ♪」
彼女からの不意打ちの告白に、安室は思わず面食らい…
注文を取り終わってカウンター内に足を踏み入れていた梓は、顔を赤らめて嬉しそうに2人の様子を交互に見て居た。
「ガシャン!!」
そんな後ろのテーブル席で、コーヒーを飲んでいた中年の男性がコーヒーカップを手から滑らせた様で、コーヒーをテーブルに溢していた。
椛「大丈夫ですか?」
直ぐ前のカウンター席に座っていた椛は、先ほど渡されたおしぼりを手に、いち早くテーブル席に駆け寄るが…
安室「お洋服大丈夫でしたか?」