第7章 緋色の友情
彼女は俺の正体を知る数少ない人間の一人だ。
以前、駅で荷物を運ぶのを手伝った縁で知り合った。
その日は駅のエレベーターが故障して修理中の為止まっており、キャリーケースを階段で運んでいる彼女が目に留まり、危なっかしかったので手伝った。
普通のキャリーケースより重かった為、中身を聞くと
椛「これからお味噌作りの教室に行くんです♪」
と言っていた。
そこから彼女の仕事の話になり、講座を受講する流れとなる。
一般のグループレッスンだと他の受講生も一緒だとの事だったので、他の人間と接触しなくてもよい個人レッスンを依頼する事にした。
最近料理の楽しさに目覚めた所だったし、家にずっと1人でいても暇な為、丁度良かった。
一応素性を調べたが至って普通の『一般人』だし、特に問題ないと思っていた。
そんな個人レッスン初日に彼女は…
『沖矢昴』が変装だと見破ったのだ。
あの時の事をふと思い出す。。。