第7章 緋色の友情
昴「ところで、今日の試食は何ですか?
仕込みも楽しいですが、いつも試食がまた楽しみなんですよね♪」
椛「そう言って頂けて嬉しいです。
今日の試食は、この豆板醤を使って作る本格的な『麻婆豆腐』ですよ。」
昴「麻婆豆腐!いいですね!麻婆豆腐好きですよ。」
椛「それは良かったです。」
「辛い物には目が無いんでね。」
急に先ほどまで話していた好青年の様な声色から、耳心地の良いテノールへと変わる。
共にキッチンに立つ自分よりも背の高い彼を隣から見上げる。
椛「はぁ、、、
今日はもう『沖矢昴』モードは終了なの?
、、、秀一?」
赤井「こちらの方が話しやすいし、楽なんでね。」
椛「まぁ、そうでしょうけど、、、。」
赤井「なんだ?
椛は『沖矢昴』の方がいいのか?」
椛「私は正直どっちでもいいよ。
けど確かに~、、、
『生徒さん』としては『昴さん』の方が良いかも♪」
赤井「どっちも作業しているのは俺だが??」
椛「いや、そうなんだけど。
『昴さん』の方が生徒さんっぽいじゃない。
素直だし。従順だし。」
赤井「年齢が俺らより年下の設定だからじゃないか?」
椛「確かにそれはあるかも。
まぁ、、、
とりあえず、時間になってるので、今日のレッスンを始めます!
よろしくお願いします♪」
赤井「あぁ。」
椛「、、、。
やっぱり『昴さん』の方が可愛いよ!!」
彼の緩い返事に彼女は少し不満げな様子だ。
そう言って首についてる変声機に手を伸ばして、スイッチを入れようとする。
赤井「おい、やめろ。くすぐったい。」
だが、簡単にかわされてしまう。
赤井「それに可愛いと言われても『沖矢』も喜ばんぞ!」