第38章 緋色の実情
普段、あまり過去のことをあれこれ探って来ることはないが、彼女なりに何か引っ掛かる所があったのだろうか。
唐突に質問してみるが…
彼の様子から答えてくれる気がしなくて、少し質問を変えてみる。
椛「秀一って…
ここに来る前の哀ちゃんと…
何か関わりがあるの?」
赤井「…何故、その子が今出てくる?」
椛「哀ちゃんも幼児化する前に、組織にいたんでしょ?
同時期に秀一も組織に居ただろうし…」
赤井「…何故、椛がその事を知っているんだ?」
椛「それは、たまたま知っちゃった感じだったんだけど…」
彼女の言い分に、思わず小さく溜息が漏れた。
赤井(…『たまたま知った』か…
俺が想像していた以上に椛は…
足を踏みれていたんだな…)
椛「秀一、哀ちゃんを守る為に…ここにいるの?」
赤井「……何故そう思う?」
椛「何故って言われても…
女の勘?」
赤井「その『女の勘』というものは時に、末恐ろしいものがあるな…」
椛「そう?」
赤井「もし仮にそうだとして…それを聞いてどうする気だ?」
椛「どうって…
秀一が困ってて、私で力になれる事があれば、力になりたいよ?」
赤井「…」
赤井(椛はそんな風に思っていたのか…)