第1章 イライ・クラーク 〜催眠〜
《次の日の朝》
目を覚ますと、乱れた服は元通りになっていた。
寝ぼけ眼で横を見てみると、そこには私の本棚から取ったであろう本を読んでいるがいた。
「やぁ、おはようイライ君。ヤるだけヤってそのまま寝るだなんて、君は可愛い奴だね」
『え゛』
昨夜の記憶がほとんどない。驚いて出した声は酷く掠れていた。
「流石の私も寝ている人に水を飲ませることは出来ないからね」
はそう言って水を差し出してくれた。
『……』
「ただの水道水だよ」
訝しげに見つめる私の視線に気付き呆れたように言葉を発する。流石に申し訳無くなりその場で飲み干した。
『コホ……ありがとう』
「いいや、無理させたのは私だからね。コップ片すよ」
彼女の言葉に甘えてコップを渡し、布団に横たう。
腰が痛い。昨日は余程激しく求めてしまったのだろう。元気そうにウロウロしているが凄い。
ふとが読んでいた本を手に取り、中を覗いてみる。
その瞬間、冷や汗がどっと流れた。
「イライも良い趣味してるよね」
突如耳元で囁かれ、おかしな声が出た。
『な、え、さん、これは違くて……!』
「いーよ弁明しなくて。そういう趣味なんだろう?」
否定しようとした。
しようとはしたが、今ここで打ちあければ、なら付き合ってくれるかもしれない。
そんな邪な気持ちを込めて、の目を見てみる。
その視線に気付いたは嬉しそうに笑った。
「ふふ……それ、私で試してみるかい?」