第6章 ハスター 〜触手〜
ハスターの…番?になってから、約半年経った。
この半年は特に手を出されることも無く、面倒な事も無く、かなり楽な生活が出来ている。
最近の私はと言うと、一番の快楽はフカフカの布団で寝ること、と無理矢理結論付けて、毎日布団の中でヌクヌクしている。
『、外に出ろ』
「ん〜…後で」
『出ないだろう。人間は太るぞ』
「太ったら好きじゃなくなる?」
『…………』
ハスターは『んぅ…』と唸りのような声を出し、頭に手を当てて空を仰ぎ出した。
「あは、ごめんって。出るから許して」
布団から出ると、手をぎゅっと握られ引っ張られた。
『ついてこい』
わかった、と着いていくと庭園まで連れていかれた。
ハスターはよく庭園に行っているな。
ふとそんな事を思いつつドアを開けると、そこには可愛らしい雪だるまが沢山あった。
一、二、三、四………十つ程か?
「どしたのこれ」
手袋を着けた雪だるまと握手しながらハスターに問う。が、返事が無い。
「ハスター?」
振り向くと優しい顔をしたハスターがこちらを見ていた。
「ハスタ〜さん?」
近づいてみるとぎゅ、と強めに抱き締められた。
『愛いやつよなぁ…』
「ん、ありがと」
トントンと背中を叩いて離れる。このように直接的な感情表現には慣れたが、やはり少し恥ずかしい。
「んで何この雪だるまたち」
『…もしが外に出なかった場合、出ればいい物が有ると言えるように作った』
「ハスターが!?全部!?」
『ああ』
ハスターが私のために大量の、サイズもデカめの雪だるまを作ってる姿を想像して……。
あまりに似合わなすぎて吹き出した。
いや、とてつもなく可愛い。けれど、彼に雪だるまは似合わない。
「ありがとう」
愛しさが胸から溢れ出し、にやついてしまった。
今日はハスターにいい事をしてあげよう。
『そんなに笑ってどうしたんだ?』
「なんでもないよ」
私とハスターはしばらく雪遊びをしてから部屋へ戻った。
今夜は楽しくなりそうだ。
ーハスター編終ー