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【第五人格】快楽至上主義

第6章 ハスター 〜触手〜


〜夜〜

コン、コンと恐る恐るノックする。

『入れ』

その言葉と同時にドアが開いた。が、中は真っ暗で何も見えない。

一切の光が無く、足を踏み入れたら落ちてしまうのでは無いかという恐怖が出てきた。

『早く入れ』

意を決して中に入ってみると、しっかりと床があった。なんかふわふわしていて、すごい足の裏が気持ちいい。

『よく来たな人の子』

真っ暗な部屋の中、いつの間にか真後ろにハスターが立っていた。

「あーっと、こんばんはハスター」

顔を見ないように目を逸らして話す。

『なぜ目を逸らす』

両手で頬を包まれ、無理やり顔を合わされる。

「いやっ!!特に何もない!よ!!」

目だけでも横を見て、なるべく視界にハスターが入らないようにする。

『……』

ズル、ズルと音がする。

「…?」

ハスターの手の力が緩んだと思った瞬間、足に触手が巻きついた。

「うわっ」

驚いて足を上げようとしたが、上げられない。

「ね、ハスター、どうしたんだ?君がこんな事をするだなんてらしくないじゃないか」

足を締め付ける力が徐々に強くなってくる。痛い。骨が折れるんじゃないかこれ。

『、お前…最近色んな男に手を出しているそうだな』

「え?うん…」

『女性とも親しくし、男ともそのような関係を持っているのに…何故我を避ける?』

足からメリ、と音がする。そろそろ本当にまずいのでは…?

『答えろ』

触手がグンと上に上がると同時に体が持ち上がり、宙吊りの様な姿勢になる。

「…顔が、怖くて……」

物凄く失礼なことを言っていると自覚しながら白状する。

混乱と緊張でまともな嘘が吐けないと判断したからだ。

『顔…?』

ハスターが、多分顎?の部分に手を当てて悩む素振りを見せた。

「…なんか、底が見えない海みたいな怖さ感じる」

『なるほど』

頭に血が上ってきた頃、触手がゆっくりと動き、ハスターの上に私を乗せた。

ハスターに姫抱きされる形になり、気まずさが爆発する。

『触ってみろ』

「…?」

顔を寄せられ、心臓がグッと小さくなる感じがした。

『我の顔が恐ろしいのだろう?』

不満そうな声で言われる。怖いかどうかと興味が無いかは別だ。

私は、怖いもの見たさで顔に手を伸ばした。
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