第4章 リッパー 〜睡眠姦〜
この日。
私はナイチンゲールに試合をサボりすぎだと説教され、重い腰を上げて試合へ参加していた。
「おや、今回の相手はジャックかい。まぁ私にかかれば楽勝かな」
私のスキルは3秒間移動速度17%アップ、その間は足跡が残らないというものなので、存在感が溜まったジャックとは多少相性が悪い。
しかし今回の編成はパトリシア、ナワーブ、私、ルカだ。
粘着、救助、チェイス、解読が揃ってしまえばこちらのものだろう。
マップも私が好きな軍需工場だ。
<ハンターが近くにいる!>
ルカのチャットに、全員の気が引き締まる。最初にルカを見つけるのは随分と運がいい。
解読を50%程まで進めた時、薄い心音がしてきた。この付近でチェイスをしたいらしい。
<注意!ハンターが目標を変えた!>
ルカがそうチャットをするが、一向に心音が収まる気配が無い。
次は私がチェイスのようだ。幸いまだ存在感は溜まっていない。
「かかってきなジャック!」
<ハンターが近くにいる!>
その後ナワーブを巻き込みつつ、なんやかんやで2回救助を挟んでもらって4人通電した。
<ゲートが開いた!>
<早く逃げて!>
3人が脱出したのを確認して安心したのも束の間、ジャックの鋭い爪が視界に入り、そのままダウンした。
『チッ、他の3人には逃げられてしまいましたか…』
「ハ、残念だったね」
『まぁ、私の今回の目的は貴女だけなのでいいですが』
ジャックはそう言うと私の服の胸元を鋭い爪で裂いてきた。
「……」
予想外過ぎる出来事に、私は普段の自分の行動を忘れ、軽蔑の目を向けてしまった。
『何ですか、その目は』
ジャックの爪が頬を撫でると、頬に一筋の傷が出来、そこから血が滲み出してきた。
「乙女の顔になんて事を…」
『これは失礼』
彼の大きな身体が私に覆い被さってきた。
こんな事になるとは予想もしてなければ、彼の事をそんな目で見たことも無いので困惑が勝ってしまった。
「辞めてくれ」
押し退けようとするが、相手はハンター。もちろんどかせるはずが無い。
『失礼しますね』