第3章 明るい世界
「う〜ん……」
まだ眠いのに、外が妙に明るくてなかなか寝つけない。
まさかもう朝なのか……? そう思ってスマホを手にしようとしたが、あれ、ない。
仕方なく目を開けてスマホを探そうとして、いつもの景色じゃないものが見えて飛び起きた。
「あ、おはよう、ユメさん。道路で寝ていて、体調でも悪かったのかい?」
「え……」
聞いたことのあるような声。だけど見知らぬ場所でどうして……そう思いながらも目を上げた先にいたのは、な、なんと、私の最推し?!
「え、カシタロー……さん?!」
「そうだよ、ユメ。寝ぼけちゃった?」
と私に笑いかけるカシタローさんは、キツネの面を被っている。なんで? どうして? 私の頭の中は大混乱だ。
プップー!
その時、車のクラクション音が聞こえ、びっくりして動けなくなった私の手首を掴んでカシタローさんに引っ張られた。あ、いい匂い……って堪能している場合じゃなくて!
私は先程通過した車をよく観察してみた。リアルの車にしてはかなりポップな色合いで、どちらかというとぬいぐるみみたいに見えた。ん……? ぬいぐるみ……?
「ユメ、どうしたの?」
私を抱えてこちらを見下ろすカシタローさん。イケメンに見下ろされるなら何度だって見下ろされたいが、今はそんなことは置いといて……。
「カシタローさん、ここ、なんて名前の町だっけ?」
私は、あることに気づこうとしてそんな質問をした。
カシタローさんは少し驚いた様子だったが、次には優しい笑みを浮かべてこう答えてくれた。
「ここはハッピータウン。僕とユメの箱庭世界だよ♪」
「あぁ……」
間違いない。ここは、あのゲームの世界だ。
キセカエンの、私が作った町の中だ。