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箱庭世界の推しと私[kstr]

第17章 数日後


 ガチャン……。
 演出が流れ、キラキラと光ったり光らなかったりを繰り返した。光り続けたらR以上は確定なのだが、やはり単発では出ないかな、と思い始めた矢先。
 キララーンと効果音が鳴り、ガチャが黄色く光った。これはワンチャンR品が出るかも……?!
「え」
 ぽんっと出てきたガチャの中身は、どこかで見覚えのあるものだった。ヒラヒラふわふわキラキラの真っ白いドレス。花嫁さんが着るようなあのドレスだ。
「これって……」
 直後、画面にぽっと何かの説明欄が表示された。

双子アバターたちに感情表現が追加されたよ!

「感情表現……?」
 私は一瞬、訳が分からなかった。確かにさっきアップデートはあったけど、なぜ今このタイミングでこの説明が表示されたのか?
 だがその謎はすぐに明かされることとなる。今さっきガチャで出たドレスをいつの間にかカシタローさんが持っていて、それを片割れのアバター……ユメに、片膝をついて渡したのだ!
 このシチュエーション、見たことがある。
 渡されたアバター側のユメが頬を赤らめ、ドレスを受け取るなりふふふっと笑った。笑うと驚く以外の感情表現がなかったアバターたちに、複雑な感情が追加されたらしかった。
「夢じゃ……なかったの?」
 思わず画面を撫でる。画面奥のカシタローとユメが、私のタップに反応して両手を振った。言葉を発しない彼らから、もう二度と、答えを聞くことは出来ない。
 それでもまだ夢から醒めていないのではという疑いで手持ち欄を開いてみたが、やはりあのドレスが手に入っていた。ついでにユメに着せ替えてみると、カシタローさんの花嫁さんみたいになってなんだかこそばゆかった。
「……ありがとう、カシタローさん」
 私の中には二人の「カシタロウ」さんがいる。現実世界の伊東歌詞太郎さんと、画面奥にいる、私の最推しのことだ。

 おしまい
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