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箱庭世界の推しと私[kstr]

第17章 数日後


「クスクス!」
 双子という設定のアバター二人も、埃まみれで道路で寝転がっていた。これも仕様上なのだが、今まで数日間もログインしたことがなかったのでこんなアバターたちを見たのは初めてだ。
 カシタローさんは泣いてもいなかったし、私も泣き出すことはなかった。片割れのアバターの挙動がおかしいって訳でもないし、本当にあの出来事は夢だったのではと思うくらい、いつも通りだった。
 とりあえず二人をシャワーに入るように指示を出し、もう一度家から出てきた時に驚いた。もう一人のアバターは私に似せた「ユメ」なのだが「カシタロー」の背中には、見慣れないものが。
「ギターケースなんて持たせていたっけ……」
 さっきは埃まみれでアクセサリーの類は反映されていなかったのだ。だけど、そんな、過去のガチャにしかなかったはずの黒いギターケースなんてどこから手に入れて……。
 そんな私の困惑をよそに、ユメの方のアバターが何かプレゼントをしてきた。町の埃を払ったり、アバターたちにシャワーを入れたりすると、お礼に何かもらうのだ。
 毎日ログインしていたゲームの癖というのは早々抜けないらしく、ユメアバターからプレゼントを受け取ると、超珍しいガチャ石が中に入っていた。もしかしてこれはおかえりなさいボーナスか? なんて運営の企みに薄々気づきつつも、既にガチャ中毒である私は、ガチャを回さずにいられなかったのだ。
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