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箱庭世界の推しと私[kstr]

第17章 数日後


 数日後。
 私は何事もなく現実世界に戻ってきて、いつも通りの日常を過ごしている。
 戻ってきた時は、いつの間にかベットにいたものだから、あの出来事は本当は夢だったのではないか、と思うようにしていた。
 あの時必死でカシタローさんを作ったキセカエンアプリは、今はもう開いていない。開いたら泣き出してしまいそうだったし、自分が作ったカシタローさんが泣いていたらどうしよう、とか思ったらどうしても開けなかったのだ。
 でも最近、なんとなく動画を眺めていた時に歌詞太郎さんの歌がオススメに出てきて、歌を聴くだけなら、と聴いた歌に元気と勇気をもらって。一度開くだけなら、とスマホを手に取ったのが仕事を終えてベットに座っている今の私である。
「……大丈夫」
 一人そう言い聞かせてアプリをタップ。アップデートがあったみたいだがそれも一分程度で終わり。オープニング画面へ。
 ピンクや黄色や水色で彩られたキセカエンの画面。私の箱庭はどうなったのだろうか。しばらくお世話をしていなかったから、ちょっと散らかっているかもな。お片付けくらいしないと。
 ……カシタローさんは。
 心臓がドキドキしてきた。ここでようやく、あの世界での見たものや聞いてきたものが鮮明に蘇ってきて私は何度も瞬きをした。大丈夫。大丈夫。何が大丈夫なのか、よく分からないけど。
 オープニング画面をようやくタップして、私の画面は自分の箱庭を映した。やはり、仕様上リアルタイムで時間が経つと箱庭世界が散らかるので、建物のあちこちに埃が被っていた。
 そして。
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