第14章 意思
「これ、あげる」
それは、虹色のガチャ石。私が帰ろうと決断するきっかけになったものだ。一番最初にカシタローさんからもらったガチャ石を、ちゃんと返したくて。
「ユメ……」カシタローさんは驚いた様子だったけれど、最終的には受け取ってくれた。「ありがとう、ユメ」
ガチャ石を大事そうに胸に抱くカシタローさんを見て、目の奥がウルッとした。泣いてはいけない。少なくとも、ここでは。カシタローさんを困らせてしまう。
「行ってきます」
私は、自分の寂しい気持ちを振り払うように言った。
「行ってらっしゃい」
カシタローさんの優しい声が、私を送り出してくれた。