第7章 ガチャのお店
「そ、そうだったんだ……覚えてなくてごめんね」
と私が取り繕うと、カシタローさんは気にしないで、僕が勝手に大切にしているだけだから、とイケメン発言を返されてまたもや心臓を貫かれる。実際のカシタローさんもこんな感じなのだろうか。いやいや、どっちにしろどっちも良き……。
「それより、ユメの服はどうする? ここでガチャが出来るんだけど、やるかい?」
とカシタローさんに招かれるままやって来たのはガチャのあるところ。ガチャの見た目は画面上で見た通りだ。自分の服がガチャで決まるって、男物が出たらどうするんだと一瞬思ったが、その時はカシタローさんに着てもらおう! というポジティブな気持ちで(いいや、ただのガチャ中毒であるw)私はガチャの前に立った。
「やってみようかな〜」
「じゃあこれをあげるよ。公園の草むらに落ちていたんだ」
とカシタローさんに渡してもらったのはゲーム上で使われる硬貨、ガチャ石。虹色の丸い石で、つい眺めてしまいそうだ。
「これをここに?」
「そうだよ!」
丁度ガチャ石が入りそうな穴にコロンと入れた私。その間カシタローさんは隣でずっとにこやかだ。こんな幸せなことがあるだろうか。いいや、ない。
間もなくして、ガチャがガタガタと音を立てた。服ってそんな音するんだっけ? と思っている内に、ゴロンと大きなガチャガチャのボールが出てきた。
ゲームの中ではこうやってガチャが出てくるのか。画面越しでは直接ガチャの中身が表示されるので、現実世界との違いにちょっとワクワクしたりして。
「開けるかい?」
いつまでもガチャボールを開けないからか、カシタローさんがそう聞いてきた。ボールは私の体の半分くらいはある大きさで、確かに開け方が分からなかったので頷いた。
「うん、開けて欲しい!」
「オッケー!」
そうしてカシタローさんは、両腕に力を入れて勢いよくボールを開けた。出てきたのは……。