第2章 黒猫と指輪
「ハーくん、アルくん、ちょっと1回だけコレはめてみてい?」
りあなは、指輪を拾ってから動かずにその場で立ち止まり、ハデスとアザゼルの顔を交互に見渡してから指輪を指にはめる。
それを見ていたラルドも、手に持っていた指輪を指にはめたのだった。
指輪をはめると、りあなは、意識が飛ばされる感覚がした。
少し経つと、真っ暗な空間にりあなポツンと立っていた。
遠くの方から、黒猫の鳴き声がし、少しずつその鳴き声が近づいてきているのに気づいたりあなは、ハデスとアザゼルを呼び出した。
ハデス「りあな、暗闇だが、大丈夫か?」
アザゼル「姫さん、ここめっちゃ真っ暗だけど、どこ?」
ハーくんは、暗闇にいることを心配してくれて、アルくんは、ここがどこなのかをうちに聞いていた。
「アルくん、ごめん。多分、飛ばされる途中の空間だと思われるよ。。。多分だけどね。。。」
アザゼル「なるほど?」
黒猫の鳴き声が真下で聞こえ、足元を見ると。
先程、アザゼルに抱き上げられていた黒猫がちょこんと座りりあな達を見上げていた。
そして、不意に声が聞こえてきた。
黒猫「こんにちは」
声のする方に目を向けると、やっぱり足元で自分たちを見上げている黒猫が目に入った。
喋る猫なんて、セラムン世界のルナとアルテミスで慣れていたりあなは、特に驚く事もなく普通に会話をする。
「こんにちわ、黒猫さん。」
黒猫は、りあなが普通に挨拶してきた事に驚いては居たが、話を進めることにした。
黒猫「驚かないのね。」
「そりゃあ、慣れてるもんで。」
黒猫「そう。。気を取り直して。。」
「人は心に闇を抱えながら、何とか生きてる。。歩みを止めれば直ぐにバランスを崩してしまうから。なるべく、苦痛を感じないように、わざと意識を鈍らせながら。でしょ?」
黒猫「!? 貴女は、何度も絶望を経験しているのね。。。」
「そうだね。。もう、慣れたけどね。。」
黒猫「そして、気がつけば時間が流れて。。。少しの後悔を抱えて死んでいく。。」
黒猫の言葉に耳を傾けつつ、りあなは、自分は後悔してない事を心の中で呟いていた。