第2章 黒猫と指輪
そんな話をしていると、一匹の黒猫がアザゼルとりあなの足に交互に擦り寄って来ていた。
アザゼル「姫さん、黒猫だよ!かんわいいなぁ、お前。」
そういうと、アザゼルは黒猫の頭を撫でてから、抱き上げる。
アザゼルに抱き上げられた黒猫は、「にゃぁーん♪」と声を出した後に、アザゼルの胸もとに頭を擦り付けてもっと撫でろと催促をしていた。
ハデスは不意に、黒猫の首輪に目が行き、プレートに書いてある名前を声には出さずに読んでいた。
ハデス(MUU。。。? ちょっ、待て。。この黒猫、りあなが最近ハマってるゲームに出てくる黒猫と名前が一緒だぞ!?)
「アルくんは、ほんと猫好きだよね♪」
アザゼル「当たり前じゃないかよー♪♪ こんなにもふもふした猫を好きにならない方がおかしいだろー♪♪」
黒猫は、アザゼルにひとしきり撫でられて満足したのか今度は、りあなの肩に飛び乗った。
「わっ。。黒猫さん、器用だねぇ。。でもごめんね、撫でてあげたいんだけどアレルギーあるから撫でられないんよ。。」
りあなの言葉が聞こえてたのか、少し悲しそうに目を下に向けてから、りあなの肩から地面に飛び降り、金色の指輪をりあなの前に置いて、走っていった。
落として行った指輪をしゃがんで拾い、街灯に照らされてその指輪が金色だと言うことに気がついて困惑するりあなであった。
「黒猫さんに、悪いことしちゃったなぁ。。。あれ?指輪。。。。。。金色の。。。指輪。。?」
ハデス「りあなが何を言いたいのか、分かってる。さっきの黒猫もしかしたら。もしかするかもしれんぞ、りあな。」
ハデスにそう言われて、まさかとは思うが。。
さっきの黒猫は、あくねこの世界に出てくる黒猫なのではないか?との疑惑が頭に上がってきた。
「え。。いや。。だって。。え?。。ハーくん、マジ。。?」
アザゼルは、ハデスが何を言いたいのかよく分かっていなかった。
りあなの困惑した表情を見て、何が起きたのか分からず心配になっていた。
この一部始終を遠目で見ていたラルドは、ニヤリと口角をあげて、猫が落として行った金色の指輪と似たような指輪をポケットから取り出し、不敵な笑みを浮かべていた。