第1章 異世界どころのさわぎじゃない
部屋から出ると洞窟のような整備されていない道が続き、ところどころに蝋燭が灯されている。
しばらく歩くと登り石段が現れた。真っ直ぐ上に伸びてはいないが一番上まで確認はできる、かなり長い階段だ。ここは地下だったみたい。
会話もまばらに、黙々と階段を上った。
先頭にはムキムキのおジイさん。そのあとにSnow Manの皆さんが並んで進んでたのだが…。
「大丈夫?」
舘様が後ろを振り向き立ち止まると、私の顔を見た。
また心配されてしまった。
「だっ、大丈夫です!!」
私が答えると舘様はほんと?みたいな困った顔をする。
そりゃね!普段から運動しているならまだしも、皆さんと比べてしまったらね……。
「とりあえずさ。俺達でもこの階段きついと思うよ?
ほら。置いてかれても、困るでしょう?」
ここは、名も知らない古ぼけた石段。
彼が手を差し出す姿は王子様そのものだ。
「いいえ!これくらい行けますっ!
だ、舘様、行きましょう!」
その手に触れたいのも大変やまやまだが、迷惑かけるわけにもいかぬ!
はっ!リアル舘様と呼んでしまったっ!!
舘様はしまった顔の私にニコリと笑って、横に並ぶと再び階段を上りだした。
え…王子ぃ~
「なんかさ、つけてる?香水とか」
「え…っい、いいえ…」
「ふーん?」
匂い?臭いっ???!!!
私は家にいたのだ。何もしていない。化粧だってろくにしてない。服だって普段着だ。Snow Manは全員で何かの仕事をしていたのか衣装っぽいものを着ている。マジカッコイイ。
匂いと言えば舘様のほうが断然いい匂いがする。その香水が何か教えてほしい。
一番後ろにいたときは全員を見つめ放題だったのだが、舘様が横に来たのでそうもいかず、私は階段を上る力は格段に上がった。
あれ?そういえば転んだ膝が痛くない。いつから?よく考えてみたが、そもそも転んだとき以外、痛かったかよく覚えていない。
階段は長くてきついけれど、さっきまで抜けていた腰もむしろ今は元気な気がする。
なんで???