第1章 異世界どころのさわぎじゃない
階段を上がり、先へ進むとと地上の明かりに目が眩む。
すでに開いた状態の扉があり、それを越えると、白亜の壁が広がる巨大なお城があった。こんなお城、ゲームでしか見たことがない。
先ほどまでいた場所も、目の前にあるお城も現実からかけ離れていて、ドッキリ?なんて規模ではない。それはまさに異世界に来たという事実を見せられているようだった。
広々としたお城の中。会議室らしき広間に案内されて、私達は並べられていた席に座った。
「深澤」
「照」
「サクマ」
「阿部です」
「舘」
「翔太」
「こーじ」
「目黒」
「ラウ」
どうやらフルネームではなくメンバーが呼びやすい名前で自己紹介することに決めたみたいだ。
ここに来るまでろくに会話していなかったはずなのに座るや否や順番に自己紹介を始めた。
「……」
「…………あの。聖女様のお名前もお聞かせていただけますか?」
「聖女?」
モジャモジャのおジイさんが私を見ながら言った。理解できない言葉に聞き返してしまう。
おかげでSnow Manの視線も集めてしまうし。
聖女?ワタシ、聖女なの???
「…………………葵、です」
聖女?