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異世界とアイドル【sn】

第1章 異世界どころのさわぎじゃない



めめの一言で移動する流れになり、その場にいた人たちがゾロゾロと部屋から出ていく。十数人はいたようだ。
ほぼ、おジイさんで、ローブを着ている。

「……お年寄りばっかじゃん」
「若者もいる。ただ、戦争で減っただけだ」
「……」

戦争で減る。死という言葉が頭を過る。
この世界で死んだら、私達は帰ることはできないのだろうか?

「立てる?」
「あっ!さっきはごめんなぁ…
大丈夫?お姉さん」
「っあ、はい!」

私が転んで押し倒しただけで康二くんは何も悪くない。
めめが手を差し出すと、ハッとした康二くんも手を差し出してくれる。
え?ここは、天国か?触っていいの?
あ、異世界だった。

「…っ」

慌てて自力で起きようとしたが、ペタッと再び床に尻餅をついた。そうだ……腰が抜けてたんだ。
見上げると二人は少し困ったような顔をして手を出したままだ。
今の状況を理解するのが精一杯のはずなのに、たまたま近くにいて座り込んでいる私に気を遣ってくれているのだ。

いけないっ!推し達を困らせてしまった!!!

そっと両手を伸ばして二人の手を取り、気合で起き上がった。
さ、触ってしまった。幸せすぎる…

いろいろな出来事が身体に重く圧し掛かり、立ち上がった足はプルプルと震えている。決して幸せを噛みしめているわけではない。
ああああああ……ありがとう異世界。
そして、頑張れ。私の腰と足。

「ありがとうございます…」
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