第1章 異世界どころのさわぎじゃない
異世界召喚がありえねーって?
それより今の私の状況がありえねぇだよっ!なんて。汚い言葉を発言する事も出来ず私は下を向きつつ、存在しない空気をなんとか出そうと努力する。
「あのぉ~……そもそも突然連れて来られて、俺らには勇者になるという選択肢がありえないです。
ていうか、元の世界に帰せ」
口調は下手に出ながら最後には強く要求する。
さすがのふっかさん。お兄さんだ!お兄ちゃん!!
「貴方がたを召喚するために我々は多大なる時間と研究を重ね、膨大な魔力を使い召喚したのです」
「いやいや…。それ、そっちの都合でしょう?こっちは9人グループで仕事をやってるんですよ。それぞれソロでも仕事があるし……9人全員いなくなるってどれだけ大変なことか、貴方達にはわからないでしょう?」
「あ…俺、あれだ。今日撮影…」
「俺もまだこのあと……」
阿部ちゃんが一歩前に出て発言をした。それから他のメンバーは仕事のことを思い出したのか、それぞれ顔色が悪い。
私みたいな一般人が突然一人消えようが世界は困らない。
ただ、彼らは違う。
彼らには替えがいないのだ。
だってっ!!!彼らはアイドルだものっっっ!!!
「それらについては私が説明しよう」
それらって何?
おジィさんの後ろから現れたのはムキムキのおジイさん。
●ンピースの●―プみたいな人出てきた…。この世界はおジイさんしかいないのかな?
「お前たちを呼ぶのために我々は多大なる力を使った。だが、帰すことが出来ないわけではない。
この世界の魔王を倒したとき、膨大な魔力が手に入る。そこでお前たちを帰すことができるであろう」
全然、説明になってないじゃん…。