第1章 異世界どころのさわぎじゃない
後ろにいるめめが誰かに質問した。
部屋は薄暗く、部屋の中央にぼんやりとした明かりの奥。ザワザワとした話し声がSnow Manの歌声の合間に聞こえた。
そこでやっと私は顔を下げたまま自分の耳についたイヤホンを外した。
「ここはセレブリーアン大国。
現在この国は魔の国より侵略の危機にさらされている。
我々は戦力を増やすために勇者召喚の儀式を行ったのだ」
「マジ?異世界召喚?
え、マジで???オレら全員勇者ってこと???」
部屋の向かい側、何人いるかわからない人影の中から一人、前に出てきた。●ンブルドア校長みたいな白いモジャモジャヒゲで高級そうなローブを着たおジイさんだ。声はやけに低い。
異世界召喚と聞いて最初に声を上げたのは佐久間大介。顔を少しだけ上げチラリと視線を向けるとピンク色の髪がフワフワと揺れている。
アニオタで有名な彼だが異世界召喚に喜んでいる声ではない。
「オレら結構、歳食ってるよ?
てかマジ全員……召喚?」
「意味わからねーって……」
そう。
動揺して体育座りでやや下を向いているが、わかる。感じる。
私の周りを囲むSnow Man全員の気配。
その前に立ち上がった佐久間くん。
横には深澤辰哉、岩本照。
私の前には康二くん後ろにめめ。めめの後ろにラウールと宮舘涼太。
その横に阿部亮平と渡辺翔太がいる。
つまりは…………
Snow Man全員がいるってことだ。
そのSnow Manの中央に一人、私がいるのだ。