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異世界とアイドル【sn】

第5章 好感度の距離



視線を迷子にさせながら、ふっかさんの説明を聞いた。
色々あったことから想像すると、聖女の能力は勇者を癒すためであり、不足すると勇者達に不具合や体調不良が起こる可能性が高いと言う。
照くんと私は一番最初に能力が発覚してから、訓練している真面目な姿を見学したり、挨拶をする程度。一般的には適切な距離感だったと思われる。
異世界に順応するのにお互い必死だったし、私も声をかけられない限りは見守るだけだった。

「俺達が照のようにならないために、君には極力近くにいてもらったほうがいいと思うんだ」
「近く…」

説明は理解できた。
ただ、拝めるだけで幸せだったのに、これ以上、皆さんと接点持ったら私のキャパは持つのだろうか?

「葵ちゃんがいないときに勝手に決めて本当にごめん。
もちろん葵ちゃんが嫌だと思うことは俺らもしたくないからどんどん言って欲しい」
「……あの。
Snow Manの皆さんを嫌だと思ったことは、もちろんないです。ただ、手を繋いだりしたりするってことですよね?それは、あの私の、心臓が持つかどうかが問題であってですね……」

阿部ちゃんがすごいカッコイイこと言ってくれたけど、自分の返事はゴニョゴニョと小さくなっていく。
なんてったって自信がない。

「そこはオレらが慣らしてあげるからダイジョーブ!!」

佐久間くんがグッと親指を立てて、全開の笑みを見せた。
その自信が嬉しいような怖いような何とも言えない気分にさせた。
いやいやいや…アイドルが本気出すって一種の恐怖よ…。

「まずこれからは部屋以外は俺達の誰かとか複数と行動すること。葵ちゃんを一人にしておくのは心配だから、護衛だと思って一緒にいて欲しい。
あと申し訳ないんだけど、偏らないように順番でね。
これは過度な接触をしないための対策としてね」

過度……
照くんとのキスは接点が足りなかったから。その為の対策だと、丁寧で優しく説明されているのを理解して、熱くなった顔を手で覆った。
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