第5章 好感度の距離
結局、二人と手を繋いだまま移動した。
もちろん、今まで手を繋いで歩くなんてあるわけがないし、それが楽なんてことはない。まったくもっておかしな話だ。
私の動揺は隠せない。けれど、先ほど気を失った事件があったせいか、自分がどうすれば正解なのか考えているうちに食堂についてしまった。
食堂に入ると全員の視線が集まった。繋がった手を離して他のメンバーに挨拶をして、何事もなかったようにいつもと同じ席に座る。
私の定位置は長いテーブルの一番左。右に座っているのはラウールくんだ。向かいは舘様。いつもエレガント。
ラウールくんはジッと私を見てる。目を合わせるとニコッと笑顔。え、かわよ……。
舘様にも目を合わせるとニコリと極上の笑みを見せる。エレガント…。
笑顔にトキメいてしまうが、なぜか無言の圧で会話が始まらない。
周りを見渡して、他のメンバーも目を合わせても笑顔を見せてくるだけなのだ。
Snow Manの全員、何かが変だ。
照くんとキスしたせい?
でも、そんなこと聞くに聞けない。
とりあえず食事を済ませ、食後のストレートティーを飲みながら一息ついた。
「……今日は俺から話するね」
「その前に葵ちゃんの席替えせぇへん?平等に行こうや」
え?こーじくん、ナニが平等???
「あーとりあえず。話するのに俺からも遠いし、真ん中の席に座ってもらおうか」
ふっかさんの言葉でラウールくんが私をテーブルの真ん中の席へエスコートしてくれる。舘様は私が飲んでいたティーカップを運んでくれるし、至れり尽くせり。
テーブルの真ん中に座れば、視線も集めてハーレムだ。
向かいに阿部ちゃん康二くんしょっぴーが並び、右にめめ、左に照くん。いや、うん……だから、真ん中は無理だってっ!視線どこやったらいいのよ!!
前に視線を向けると康二くんが口パクで大丈夫大丈夫と頷いた。
はぁ~…まったく大丈夫の意味がわからないけど、可愛いから許した。