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異世界とアイドル【sn】

第3章 聖女の力



康二くんが、わ た し に、手を振って駆け寄ってくる。
ナニコレ。何かの奇跡?

「葵ちゃん、待った?
ごめんごめん、めめに呼ばれてたんよ。ほな、行こか。
……ジイさん、なんか用?」
「聖女様は勇者様と中庭へ行かれるのですね」
「あーそうそう。そうなんよ。
中庭デートっちゅうやつねん。なぁ?葵ちゃん」
「は、はぃ…」

私は消え入りそうな声で何とか返事をした。
デート…
デートだって!!!???
おジイさんにさっき一人で中庭行くって言っちゃったけど……いや、そんなことはもうどうでもいいね!うん!

「ジイさん、セージョサマに用事あんなら俺ら通してもらわんと困るわ。
ってことで、ほな、さよなら」
「はぁ……中庭はあちらですよ。勇者様」
「あ、そうなん?ありがとさん」

康二くんに肩を軽く押され、その場から離れた。
ありがとう。ありがとう異世界。



しばらく二人で歩き、康二くんは後ろを確認したあと、話し始めた。

「ごめんなぁ…
なんか困ってるっぽかったからスマートに連れてきたかったんやけど、上手いことできんかったわ」
「そ、そんなこと…ぜんっぜん!
めちゃくちゃ助かりました。ありがとうございます!」
「ほんま?ならよかった」

たしかに困ってはいたけれど、通りがかりに助けてくれるなんて驚きだ。
二人で会話するのは初めてだし。
はっ、しまった。緊張するから考えないようにしてたのに……。

「あのジイさん。会うたびに俺のことむっちゃ変な目で見てくんねん。阿部ちゃんが言うにはな?関西弁が変な言葉になってんちゃうかって言うんやけどな」
「変な言葉……上手く異世界の言葉に変換されてないってことですかね?」
「そうそう、それそれ。
せやから俺、思ったんやけど、タイ語で話したら秘密の暗号みたいになるんちゃうかな?どう?」
「タイ語は私にもわからない…です」
「あっ、そらそうか」

あははと、照れ笑い。
え、可愛すぎか?
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