第2章 隠された力
訓練場では兵士の皆さんに交じって照くんもまた動き始めた。
照くんに触発されたのか、舘様もめめもラウールくんも参加している。
私とふっかさんは壁面の石段に腰を下ろして、それを見ていた。
「なんだろうね~…
あのオッサン、何も言わないんだな」
「この状況ですか?」
「俺が葵ちゃんとここに座ってるのも、あいつらが参加してるのも、かな。
聞かれたことは答えるけど、強制はしない。もてなしもしない」
「そうですね~部屋も食事も用意してくれてるけど、チヤホヤされてる感じはないですよね」
「自主性に任せるってこと?それとも何もしなくてもいいってことかな」
「何もしなくても今は良さそうですけど…。どれだけこの世界が危機なのかも説明してこないし、いきなり冒険に放り出されるわけでもなさそうですし」
「え、放り出されるの?」
「いえ、ゲームだとそうじゃないです?」
「ゲームかぁ…確かにそうかも。
でもまぁ、対策は取った方がいいってことか」
納得したのかふっかさんは他のメンバーを見つめながら無言になった。
私も隣で訓練している4人を見つめた。
怪我だけしないことを祈った。
「あれって実際なに?」
また食事するところへ戻り、照くんの開けた穴について話すことになった。
朝が遅かったので私は軽食を頂く。軽いものが欲しいと頼んだらサンドイッチが出てきた。和食はなさそうだけど、食事は見たことあるようなものがわりと出るっぽい。
「あの剣。種類は長剣かな。兵士の人たちはもっと軽いの使ってたし、そっちが一般的な剣っぽい。
俺は長剣持ったらなんかいける気がしたんだよ。んで、振ったら出た」
「……わ、わかりづれぇ」
「だって俺もよくわからねぇもん。
ただ、なんとなくチカラ?のコツは掴んだ」
「能力的な?」
「そう」
他のメンバーは照くんの言うことにクエスチョンマークだ。
「舘さんは?」
「俺は触っても何も感じなかったよ」
「まずさぁ~あの武器重すぎて無理だった」
「照くんよく振れるなって思ったもん」
ちょっと不機嫌そうに答える舘様。
めめもラウールくんも同じ反応だ。少し不満げ。確か、照くんが持っていた武器は3人は早々に諦め、兵士の人たちが使っている剣に替えていた。