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異世界とアイドル【sn】

第2章 隠された力



激しい衝撃音と共にお城全体が揺れた気がした。いや、揺れた。
何があったかわからなかったけれど、音が聞こえたのは向かっている訓練場からなのは明らかだった。
自然と全員の足が早足になる。

「…………」

扉のない広間のような場所につくと数十名の兵士らしき服装をした人達がザワザワと騒いでいる。
視線の先には座り込んだ照くんに寄り添っている舘様と、あのムキムキおジイさんがいた。

「え?照っ?どうした!!」
「あ、いや……」

駆け寄った3人に舘様が気づき、指でどこかを指した。
その指の先は城の今にも崩れそうな壁面の中心にぽっかりと大きな穴が抉れていた。

「何?さっきの揺れって、あれ?」
「照が開けた」
「…は?」
「照がそこの剣を振ったら、穴が開いた」
「……」

舘様が言っている意味がわからないと、3人はポカンと壊れた壁を見ていた。
それもそう。
照くんの目の前に大きな古びた剣が落ちている。
壁面は照くんから12,3mくらいは離れている。当たって穴が開くような距離じゃない。
もし剣が当たったとしても、こうはならないだろうと思えるほど巨大な穴だ。

「…………嘘だぁ」

ラウールくんが呟いた。

「どうやらヒカル様はその武器の型が向いていらっしゃったようだ」

ムキムキおジイさんはニコニコと嬉しそうに言った。
照くんはハァと一息つくと立ち上がる。

「大丈夫か?」
「んーまぁ…俺は大丈夫。
すみません。壁に穴開けちゃって」
「問題ない。力の調節は可能か?」
「…たぶん」

舘様の手を掴み立ち上がり、笑みを見せたので、私はホッと息を吐いた。



そのあとムキムキのおジイさんは何事もなかったように兵士たちと訓練を始めた。壁に穴が開いたのに異世界では大したことではない雰囲気だ。
名前はセガールと言うらしい。
セガールって言うと確かにムキムキっぽいイメージがある。どこかのムキムキの外国俳優さんがそういう名前だった気がする。

しばらくすると3人ほどローブを着たおジイさん達が現れて、崩れた壁に杖を向けると、フヨフヨと浮いた瓦礫たちは元に戻っていった。地味に凄い。
ローブをつけた人は魔法使いなのかぁ…。
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