第2章 隠された力
ベッドに入って数時間、ウトウトしたり携帯の時間を見たりして過ごした。時間はもちろんずれている。
朝日が昇ったあと気絶するかのように眠ってしまった。
ハッと目が覚めると太陽は高く上りきっていた。
異世界転移は夢ではなかった。
顔を洗い、部屋に戻り置いてある服装を確認する。
……ヤバい、何これ?服装の注文をしなかったため、白のロングワンピースだ。結婚式にでも出るのかな?
下着も昨日替えたが……紐で心元ないのだ。合成ゴムがないのかもしれない。ああ、地獄じゃん。
悩んでいると昼になっちゃう。
ワンピースを着て前日来ていた上着だけ羽織り、慌てながらも準備をしっかりして前日食事をした部屋へと向かった。
「…おはっ、おはようございます…」
おはようで合ってる?
異世界、時計がないからよくわからない。
部屋にはふっかさんとめめとラウールくんがいた。目の前にSnow Manがいることを、夢かどうか確かめ合える相手は私にはいない。
「おはよう~…
昨日は寝られなかった?」
「はい。朝になってから寝ちゃってました」
「俺も俺も。
てか、そんな丁寧に離さなくていいよ」
「……ええと?」
「はい。とか、です、ますとか」
「ど、努力はしま……す」
ふっかさんは結局ますを使って返事をした私に笑った。
寝てないせいか、ふっかさんも顔色はよくない。そして、目つきがとても悪い。コンタクトを外したのかもしれない。
「他のみなさんは?」
「みんな色々だよ。佐久間は城を探検するって言って康二連れてったし、阿部ちゃんは図書室?があるみたいで、そこに行った。翔太は…まだ部屋。舘と照はなんか兵士の訓練見に行ってる」
「見学ならまだしも参加させられそうじゃんね?」
「んー。怪我が怖いよね」
「勇者って言われてもさぁ~!」
ラウールくんは項垂れるようにテーブルに上半身を倒れ込ませた。
勇者と言われてはいそうですか。なんて、無茶な話だもんね。
「…食べたら一緒にどこか、見に行く?」
めめが頬杖をつきながら言った。
なんかのCMみたいだ。
顔が良すぎて、言葉が詰まってしまった。