第2章 隠された力
色々と試しているうちに時間も随分遅くなってしまった。
阿部ちゃんは夜空を見ただろうか?
自分用とは別で用意して貰った化粧品をカゴに詰め込み、部屋を出てSnow Man達の部屋へ向かった。
部屋の近くまで来るとどこの部屋からはわからないけど話し声が聞こえる。
何人かは同じ部屋にいるみたい。
誰がどこの部屋にいるかはわからないので、一番最初の部屋をノックした。心臓はずっとバクバクだ。
「…………はい」
だいぶ時間が空いてから返事が来た。部屋の扉が開くと照くんが顔を出した。一人でいたみたいだ。
「あー…えっと」
「葵です」
「うん…ごめん。どうかした?」
「しょ、しょっぴーの部屋に行きたくて来たんですけど、部屋がわからなくて。あの、これ…ここの人に頂いた化粧品…」
「翔太?あー…だよね。
あ、俺も落としてねぇや…。
翔太んとこ行く前に貸してくれる?」
「はい!せ、洗面所入っていいですか?」
「あー…うん。助かる」
照くんの部屋に侵入。
全員に囲まれた緊張感とはまた別で、二人きりの緊張感もなかなかヤバいものである。
メイク落としと化粧水だけでいいと言われたので、順番に渡してタオルも渡した。
メイク落としても何にも変わってないイケメンだ。
しょっぴーの分は絶対いると思っていたけれど、仕事中だったと言ってたのでみんなの分も貰っておけばよかったな。
ただ夜も更け、お姉さんは時間外だろうし、お城の廊下には兵士っぽい人が何人か立っているだけだ。
さっき、その前を通り過ぎるのも怖かった。
「明日でも、化粧水は頼めば用意してくれると思います。
ただ女性に言わないと通じないかも」
「そうだねぇ。男には何で?って顔されそう。あとお年寄りね。あーヒゲ剃りもいるな」
「ヒゲ…生えるんですか?」
「そりゃあ、男だからね?
翔太は俺の部屋から4つ目の部屋だよ。ずっと元気ないから、それ貰ったら喜ぶと思う。
葵ちゃん、ありがとね」
「は、はい…」
部屋を出るとき、ニコリと笑って見送ってくれた。
照くんの笑顔の破壊力よ……。