第2章 聖女の力
なるほど、異世界あるあるだ。
「……ステータスオープン」
座ったまま言ってみる。
何も起こらない。自分の手を開いたり閉じたり、周辺に何か画面のようなものが出ていないか見回した。
何度見てもSnow Manだらけだ、いやはや眼福。会話の輪に入ってなかったしょっぴーと目が合った。急に恥ずかしくなって顔が熱い。
うわー……1人の時にやってみればよかった。
佐久間くんはまだ色んな単語を叫んでいる。
「異世界補正なさそうじゃね?」
「んーまだわかんないかな~。色々、試してみるわ。
葵ちゃん、どう思う?」
「わ、私!?よくわからない……です。まだ」
「だよねぇ~」
そこでポケットに携帯が入っていたことを思い出し、私は取り出して画面を見てみた。
「あっ!携帯持ってんの?貸してっ!」
「駄目だよ、ふっか。女の子の携帯勝手に見たら」
「んなこと、わかってるよ!俺ら仕事中だったから自分の物一切持ってなくてさ。あとで貸してくれると助かる」
「はい。ちょっと待っててください」
画面を見て、流れたままだった音楽を止めた。
電波は圏外だ。ホーム画面はSnow Manだったのをデフォルトに戻しておく。
Snow Manファンなのがバレるわけには……いや、もうバレてるかもしれないけど。
「何も持ってないっての地味にきつくない?
俺、コンタクトよ?」
ふっかさんがガクリと肩を落とす。
「確かに。
目が悪いのに、どうやって敵?とか、倒せんの?」
「え、敵とか倒すの?」
「勇者だし?」
「敵って人間とかじゃないよな?」
「人間、ではないかも?魔王っつうんだから、魔族とかモンスターとかかも」
「いや人間じゃなくても、全然無理すぎんだけどー!?」
「だよねー」
嘆くふっかさん。携帯を渡してみたが、電波がないのでまたガクリとしてた。
ゲームじゃないリアルな世界で何かと戦うなんて、本当に出来るのだろうか?
その後、ゾロゾロとお手伝いさんらしき人達が部屋に入ってくると食事が運ばれてきた。
見た目は西洋風だ。パン、スープ、サラダ、肉の煮込み。味は濃かったので、パンが進んだ。異世界ってやっぱご飯はないよね~……
てか普通にSnow Manと一緒に食事とかどーなのよ、私。
これ。魔王倒すまで、ずっと?