第1章 青い監獄
「でも断言する。この青い監獄(ブルーロック)でのサバイバルに勝ち抜き299名を蹴散らして…最後に残る1人の人間は世界一のストライカーになれる説明は以上、よろしく」
『とんでもない説明です』
「君、意外とうるさいよね」
『すみませんでしたッ』
絵心さんに睨まれてまた涙が浮かばせながらも、明かりがついた会場で先程よりよく見える高校生達の困惑仕切った顔を見た。
困惑して当たり前である、今の説明で全て理解した人がいれば崇め称えたい。
なんて思っていると右目の下にホクロのある子が挙手をして、困惑した表情をしながら絵心さんを見ていた。
たまにテレビで見ていた……確か、日本の期待のなんちゃらくん。
「あの!すみません、今の説明では同意できません。僕らにはそれぞれ僕らの大事なチームがあります。全国大会を控えている選手もいます。あなたのおっしゃるようなワケのわからない場所に僕はチームを捨てて参加することは出来ません」
「そーだよ!俺も全国あるんだよ!」
「いきなり共同生活とか意味わかんねーし」
「そーだ!そーだ!」
「てかお前誰だよ!?」
「ちゃんとした人間だしてよー」
不満殺到である。
まぁ、今の説明じゃそうなるだろうけど……ここまでサッカーに熱い想いを込めるこの子達が私には理解出来ないけれど。
なんて思っていれば隣にいる絵心さんは無表情のまま頭をかいていた。
面白くなさげにつまらなさそうに。
「そっかぁ……重症だなぁお前ら…。帰れ(ファック・オフ)。帰りたい奴は帰っていいよ。チームが大切…?お前らは自分が世界一のストライカーになることよりも、こわなサッカー後進国のハイスクールで一番になる方が大事か?あ?」
『素がてでる、怖い、辞めたい、退職したい……』
「お前らみたいなのが日本の未来背負ってると思ったら絶望だわ。いいか?日本のサッカーの組織力は世界一だ。他人を思いやる国民性の賜物と言える。でもそれ以外は間違いなく二流だ」
背後に日本代表選手達の写真が映し出される。
その写真を見た瞬間私はとてつもなく吐き気と憎悪が芽生えていく。
だがその気持ちを無視するように目を伏せた。