第2章 第一選考
そこは大体、皆同じ回答だな。
やっぱり脱落はしたくないというのは皆一緒で不安らしい。
『生活面はどうかな。生活面でのストレスはある?』
「あ〜どうだろ」
『もしあるなら教えて。改善方法を探すし、潔達が生活面でのストレスがサッカーの邪魔になってほしくないから』
サッカーは嫌い、サッカーに人生をかけようとするのもよく分からない。
でもここにいる子達は本気でサッカーをしているから、それを邪魔するのは消してあげたい。
そう思いながら潔を見れば、何故か潔は小さく笑った。
「真琴、俺達の事考えてくれてんだな」
『え?まぁ、やっぱり皆のマネージャーだし。マネージャーらしい事は何も出来てないけど』
「マネージャーらしいとか分かんねぇけど、一人一人ちゃんと話を聞いてたり緊張解してくれたりするの優しいなって思った。俺達の事を考えてくれてるんだなって。ありがとうな!」
『ど、どういたしまして…』
なんかお礼言われると照れてしまうなと思いながら、潔がまた溜息を付いているのに気が付いた。
あの1次選考終了してからずっと溜息を付いているけど、やっぱり何か悩んでいるみたいだ。
『潔。悩みあるなら言ってね?役には立たないけど話てみるのもちょっとは楽になるかも』
「うーん…。ここに来てさ1週間ぐらい経ってんじゃん?」
『そう、だね』
「でも俺サッカー上手くなってんのかなと思ったり、みんなみたいに胸張って言えるような武器はない。俺の武器ってなんだろうとか、俺には何が出来てるんだろうとか。ストライカーの才能ってなんだろうとか…。俺にはなにも無いのかなとか考えちまって」
そういえば、潔の武器はなんだろう。
フィジカルにスピード等、チームZの皆は武器を持ってるけど潔は持っていない。
いや、持っているかもしれないけどそれに気がついてない…もしくは使い方が分かっていないのかもしれない。
『動画、見直してみるかな…』
サッカーの知識に関しては素人だけど、完全なる素人という訳ではない。
少しだけなら分かる事もあるから、あの動画を見返せば潔の武器というのが見つかるかもしれない。
『探してみようか。潔の武器を』
「俺の武器?」
『うん。動画見たり、練習して探していこう』
「……ありがとうな、 真琴」