第2章 第一選考
「あ?なんだよ泣き虫マネージャー」
『うっ……あ、いや、あのドーピングしてないかと体調の怪我の確認をしたくて…』
「ああ!?俺がんなドーピングなんかしてると思ってんのかぁ!?」
『ひぃ!ごめんなさいごめんなさい!でも指示だからぁ』
雷市の叫び声にまた泣いてしまう。
ただ絵心さんの指示に従っているだけなのに何故、罵声をあびせられなければならないのだ。
「コラ雷市!怒鳴らない!あ、ドーピングと怪我と体調の確認だよねマネージャー。薬はしてないよ、荷物とか確認する?」
『う、うん…お願いします…』
「チッ。早くしろよ鈍臭泣き虫マネージャー」
『はい…』
ロッカールームにある荷物をチェックしていくが後ろからの雷市の圧が怖すぎて泣きながらチェックする羽目に。
ポロッと時折こぼれそうになる涙を拭いながら全員の荷物検査が終わった。
結果は薬等は無かった。
次は全員の体調と怪我のチェックなので、後ろでミーティングしている方へと振り向こうとした時であった。
目元にフワッとしたタオルが押し付けられた。
『んえっ…?』
「あんま泣いてると目が腫れるぞ、マネージャー」
『國神…』
「あーあ、すげぇ涙こぼれてくるな」
振り向いた瞬間、私の目元にタオルを押し付けてきたのは國神だった。
この青い監獄で配給された青色のタオルで、目から流れていく涙を拭ってくれる。
「アンタ、そのうち泣きすぎて干からびそうだな」
『こ、怖いこといわないでよ…』
「悪ぃ」
『なんで楽しそうに…』
「いやぁ、ちょっと緊張してたけどアンタがあんまりにも泣いたりとか表情コロコロ変えたりするから拍子抜けした」
そう言いながら國神は涙を脱ぐっていくが、私の表情はそんな拍子抜けするぐらいにコロコロ変わっていたのだろうかと首を少しだけ傾げた。
不思議そうにしながらも目を擦らなかった為なのか、目元はいつもと違って痛みはない。
國神のおかげなのだろう。
『と、取り敢えず…体調悪い人とか怪我とかいない?もしあるなら教えてもらえると助かる…』
「ないでーす」
「特にないな」
「大丈夫だよー」
見た感じでも体調悪そうな人もいなければ怪我をしている感じの人もいないが、気になる人物がいる。