第1章 青い監獄
そんな風に思いながらも今も目元に涙を貯めている真琴を見ていた。
すると視線に気が付いたのか彼女は視線を上に上げて怯えた表情を見せる。
「なんで毎回俺見て怯えるわけ?」
『凪、自分が大きいって分かってる…?上からそんな圧ある視線向けられたら怖いし怯えるから…ッ』
「このぐらいで怖いって…アンタ相当ビビりだね」
そのクセに自分に『トレーニングしろ』と言ってくるので変に度胸があるのか無いのか分からない。
なんて思いながら上から見ていれば真琴が少しずつ距離を取っていたのに気付く。
「なんで離れていくわけ?」
『ちょ、距離縮めないでッ!?』
「アンタが離れるからでしょ」
『来ないで!?大股で!!』
「凪!虐めるなってさっき言ったばっかりだろ!」
「え〜。いじめてないんだけど」
心外だと言いたげに凪は不貞腐れたような表情を見せながら自分を咎める玲王へと視線を向けた。
それをチャンスだと感じた真琴は今のうちだと扉へと小走りで向かう。
『それじゃあ凪。サボらずにトレーニングしてね!また様子見に来ますので!』
「あ、逃げた」
そそくさと逃げていった真琴の後ろ姿を眺めながら凪は『つまらない』と思いながら頭をかき、玲王はそんなつまらなさげにしている凪に笑う。
「真琴が居ねぇとつまらねぇのか?」
「ん〜、あの人面白いじゃん。怖がりのクセに俺を起こしてトレーニングさせようとするし、泣くくせに俺が動くまでちゃんといるし。あと思ってること直ぐに口に出すし。見てて面白いよね」
「お前、泣くのが面白くてワザとやってるだろ?」
「バレた?でもたまに玲王もあの人に意地悪言うよね」
「俺はつまんねぇー奴は嫌いだけど、アイツ面白いからなぁ。良い退屈しのぎにはなる。でもあんまいじめんなよ?凪」
「え〜。いじめてないって言ってるじゃん。ただ、反応見て面白がってるだけ」
「それがいじめなんだよ…」
二人してみれば真琴は良い退屈しのぎであった。
コロコロと変わる表情、怯えながらも言いたい事は言ってくる姿に直ぐに泣く反応。
全てが退屈しのぎになる。