第1章 青い監獄
「でもどうせ脱落者はでるから、300人覚えなくていーよ」
『……そう、ですか』
「ほら、もうすぐ始まる。最初のウォーミングアップが」
画面に映るのは、施設に入る前に手渡されたボディースーツに着替えたあの高校生達。
各部屋に12名いてそれぞれ何かを話していたり、1人でいたりと個性が出ている。
そして絵心さんはある部屋の映像を全画面に映し出した。
画面に映る部屋はあの最初に走り出した子がいる。
「じゃあ真琴ちゃん。ウォーミングアップ終わった各部屋をあとでタブレットに送るから、挨拶にしに行ってね。これから付き合っていく才能の原石共に」
『…分かりました』
気が重い。
今から挨拶しに行くなんて気が重い。
急に罵倒されたらどうしよう、叫ばれたらどうしよう怖い人達に絡まれたらどうしよう。
『気が重い』
そう言いながら司令室から出ていき、やけに長い廊下を歩きながら私はウォーミングアップが終わった各部屋へと挨拶をしに行く事にした。
ただのウォーミングアップではないけど。
ーブルーロックプロジェクト開始3日前ー
「無知な真琴ちゃんの為にブルーロックのプロジェクトについて説明するね」
『嫌味ですか…』
「まず、集まった奴らは俺の独断と偏見でランキングする。ランキングの数字はボディースーツに表示するし、データにも入れておく」
忘れないようにとメモ帳を取り出した私は、絵心さんの言葉をメモしていく。
そして絵心さんは無知な私に分かりやすく説明してくれた。
ランキングは日々変動する事。
トレーニングや試合の結果でアップダウンする事。
そしてランキング上位5名は無条件でUー20W杯のFW登録選手とすると、集まった子に説明する事。
そしてこのプロジェクトにはあるイカれた決まりがあるのだ。
人の人生を壊すようなイカれた決まり。
「青い監獄(ブルーロック)で敗れたのはこの先一生、日本代表に入る権利を失うから」
『イカれてますね』
「でもまぁ、この条件があれば本気になれるでしょ?」
『恨まれそうですね……』