第9章 別れの時
部屋に入ると暖房が効いていてとても暖かだった。
私は、着物の上に羽織っていた白いウールのコートをハンガーに掛けた。
トオルも自分のジャケットを掛けていた。
私は、この日、トオルの写真を撮ろうと思いチェキを持ってきていた。
チェキと言えば若い子にはとても人気のあるインスタントカメラだ。
撮ったその場でプリントが出来て愉しめるのだ。
そのカメラを私は持ってきていた。
トオルは部屋に入りジャケットを掛けると椅子に腰かけていた。
私は、その腰かけているトオルの姿をチェキで撮ったのだ。
写真はその場で時間が経つとトオルの姿を浮かび上がらせた。
その姿はとても可愛らしく感じたものだ。
この時の写真は今現在でも大事に保管している。
「美都は、和服だと年相応に見えるよね?」
「そう?やっぱり39歳のオバサンに見えるかしら?」
「そんな事ないよ、素敵だよ…」
「トオル、ありがとう…」
私は、そう言うとトオルに近づきキスをした。
始めはフレンチに、そしてディープキスへと変わってゆく。
私は、文庫に結んである半幅帯を緩めて解いていった。
着物姿でするセックスとはどれだけ興奮するだろうか。
その時、そんな事を考えていたのだ。
帯を外すと帯板も外す。